伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第四十九章 心はいつも空っぽに


なにかに秀でた人というのは、
いつも心は空っぽだ。
心を空っぽにして、
人々の心が自分の心であると考えている。


よいことはだれもがよいとわかるが、
悪いことも、
秀でた人にとってはよいことだ。
嫌な目にあっても、
よいことに出会ったのと同じように
受け止める。
信用とか、信頼とかも同様だ。
裏切られたり、嘘をつかれたりしても、
それもまた、一種の信じる心なのだと
甘受する。

秀でた人、優れた人は、聖人といわれるが、
いつも慎み深く、控えめだ。
成功を手中に収めても
おおっぴらにしようとしない。


ふつうの人であれば、
だれもが目や耳を凝らし、
情報や情勢に敏感でいようとする。
聖人と呼ばれる人たちは、
外部の情報などは一切閉ざし、
心を惑わされることはない。
だから、
すべてを受け入れるために、
心はいつも空っぽのままだ。


  • 「心が安まる老子」の著者伊藤淳子さんからメールを頂きました

下記に掲載します。
大西様
「心が安まる老子」の翻訳者の伊藤淳子です。ブログでのご紹介、ありがとうございます。
今日(というか、さっき)テレビで、農薬散布によって、子供たちの神経回路の発達異常が起るというよう
なレポートを放映していました。農家のみなさまのご苦労を思うと、勝手に食べるだけの都会人たちの勝手な言い分は心苦しく思う部分もありますが、農業や食は、日本の未来をも担っていると考えますと、やはり有機栽培や、せめて低農薬で作っていただきたいと思うばかりです。
伊藤淳子