伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第五十二章 たおやかに生きる


この世界は、
なにかから生まれ、
始まった。
そのなにかとは、
生み出す点では、母のようだ。
そんな母が産んだ子供が、
世界であり、
自然現象だ。


いいことも、
悪いことも、
いろいろなことが起きる。
そのつど、
母のようななにかを思い、
自分のありかたを考え直そう。
そうすれば、
与えられた命をまっとうするまで、
とうしようもない危機に遭うことなどない。


欲望の元凶であるすべての感覚を
常に閉ざしておこう。
世界に関心を持たなければ、
疲れることはない。
見たり、聞いたり、
人々と触れ合ったり、
世間にかかずらっていると、
救われない人生となる。


目に見えないほど小さなものを見抜く力を
明知(めいち)という。
柔軟で、たおやかに生き抜くことは、
真の強さだ。
明知の光を持って、
世の中を照らして見よう。


根源にある生き方を忘れなければ、
悔いを残すような事態に
巻き込まれたりしない。
これを襲常(しゅうじょう)という。


  • 「心が安まる老子」の著者伊藤淳子さんからメールを頂きました

下記に掲載します。
大西様
「心が安まる老子」の翻訳者の伊藤淳子です。ブログでのご紹介、ありがとうございます。
今日(というか、さっき)テレビで、農薬散布によって、子供たちの神経回路の発達異常が起るというよう
なレポートを放映していました。農家のみなさまのご苦労を思うと、勝手に食べるだけの都会人たちの勝手な言い分は心苦しく思う部分もありますが、農業や食は、日本の未来をも担っていると考えますと、やはり有機栽培や、せめて低農薬で作っていただきたいと思うばかりです。
伊藤淳子