伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第七十三章 なにもかも天が裁く


人を裁くとき、
積極的で勇敢なリーダーなら、
さっさと罰するだろう。
しかし、
決断に時間をかけて
迷うリーダーであれば、
罪を犯した人もいつか活かされる。


積極的に裁くべきか、
それとも優柔不断にすべきか。
どちらも、よい点もあれば、
悪い点もある。
どちらを選択すべきかは、
だれにもわからない。
だから、
すぐれたリーダーであっても、
人を裁く判断はむずかしい。


天が定めたように、
あるがままに生きる私たちにとっては、
そもそも、争うことなく勝利したいのである。
あるがままとは、
説明されなくても察することができて、
招かれなくても用事があれば自分から出かけ、
大雑把であるけれど手抜かりがない。
そんな生き方である。


天は大きくて広く、
そこに張り巡らされた網の目は粗(あら)いが、
どんなよいことでも、悪いことでも、
洩(も)らすことはない。


私たちが裁ききれなかったとしても、
どこかでいつか必ず、
報(むく)いはある。


  • 「心が安まる老子」の著者伊藤淳子さんからメールを頂きました

下記に掲載します。
大西様
「心が安まる老子」の翻訳者の伊藤淳子です。ブログでのご紹介、ありがとうございます。
今日(というか、さっき)テレビで、農薬散布によって、子供たちの神経回路の発達異常が起るというよう
なレポートを放映していました。農家のみなさまのご苦労を思うと、勝手に食べるだけの都会人たちの勝手な言い分は心苦しく思う部分もありますが、農業や食は、日本の未来をも担っていると考えますと、やはり有機栽培や、せめて低農薬で作っていただきたいと思うばかりです。
伊藤淳子