伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第八十章 小さな、幸せな地域づくり


国は小さく、国民も少ない方が
統治しやすいので、理想的だ。


そこで、
大勢を統率できる器量を持った人材がいても、
その能力を発揮させないようにすべきである。
人々は、一生懸命に、
生命をたいせつに暮らすよう、
遠いところに派遣させたりしないことだ。


このように、地域で生まれ育つことを
たいせつにしていれば、
船や車があったとしても
移動することはない。
自分たちの住んでいる土地を
たいせつにするなら、
戦うこともない。
よって、
武器を並べたてて威嚇することもない。


人々は、昔ながらの
縄を結んで意志を通じさせるような
コミュニケーションがいい。
地産の食べ物をおいしくいただき、
質素な服装を立派だと思うことだ。
住んでいる家に満足して、
生活や風習を楽しもう。


このような国ができれば、
隣り合った国が
お互いに見渡せて、
犬や鶏の声が聞こえるほど近くても、
人々は老いて死ぬまで
干渉しあうことはないだろう。


  • 「心が安まる老子」の著者伊藤淳子さんからメールを頂きました

下記に掲載します。
大西様
「心が安まる老子」の翻訳者の伊藤淳子です。ブログでのご紹介、ありがとうございます。
今日(というか、さっき)テレビで、農薬散布によって、子供たちの神経回路の発達異常が起るというよう
なレポートを放映していました。農家のみなさまのご苦労を思うと、勝手に食べるだけの都会人たちの勝手な言い分は心苦しく思う部分もありますが、農業や食は、日本の未来をも担っていると考えますと、やはり有機栽培や、せめて低農薬で作っていただきたいと思うばかりです。
伊藤淳子