伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第一章 無名こそが常名だ


人生をどう生きるかを考えたとき、
こう生きるべきだとか、
こんなふうに生きたらいいとか、
固定観念にとらわれてしまう。
でも、皆がよいという生き方が、
よいのではない。


肩書きや名声もそうだ。
みんなが認めるのが正しいと
思わないことだ。


生まれる前には、
人も、ものも、
呼び名を持たない。
ところが、
生まれたとたん、
ほかのものと区別するために
名がつけられる。


名づけたことにより、
それぞれは識別される。
名づけたとたん、
それがなんなのか、
限定されてしまう。
ものには本来、名などないというのに。


もともと、ある存在には
名はない。
ただそこにあるだけだ。
名がないことが常名なのだ。


ものに名がないように、
生き方にも、
これが正しいという定義はない。


決めつけて生きない。
それが本来のありようだ。


  • 「心が安まる老子」の著者伊藤淳子さんからメールを頂きました

下記に掲載します。
大西様
「心が安まる老子」の翻訳者の伊藤淳子です。ブログでのご紹介、ありがとうございます。
今日(というか、さっき)テレビで、農薬散布によって、子供たちの神経回路の発達異常が起るというよう
なレポートを放映していました。農家のみなさまのご苦労を思うと、勝手に食べるだけの都会人たちの勝手な言い分は心苦しく思う部分もありますが、農業や食は、日本の未来をも担っていると考えますと、やはり有機栽培や、せめて低農薬で作っていただきたいと思うばかりです。
伊藤淳子