伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第二十五章 森羅万象


いろいろなものが混ざりあってできた
なにかがあるのだが、
それは、天や地もなかったころから
すでにあった。
耳を澄ましても聞こえず、
目にも見えず、
感覚で捉えようとしても
捉えられるものではない。
宇宙のすみずみまで、
規則正しく制御され、
疲れることなどなく、
活動し続けている。


これは、
すべてのものごとの、
生みの親のような存在だ。
なんと名づけていいかわからないが、
仮に道、としておこう。
道を求めて行くことを、大とする。
大成、大器などに使われる「大」は、道に通じる。


道を極めようとすれば、
どんどん遠くまで行くことになる。
そこで大は逝(せい)ともいい、
逝は行くことを顕す。
遠くまで行きつくことから、
逝は、遠(えん)とも言う。
そして、結局返ってくることになるため、
遠を、反(かえ)るとも言う。


道を行くことが大なら、
天も大であり、
地も大であり、
リーダーの存在も大である。


世の中には四つの大があり、
道を極めたリーダーは、
ひとつの大の位置にある。


人として、地のありかたを学び、
地はまた天を模倣する。
天は道を極め、
道とは自然そのものである。


  • 「心が安まる老子」の著者伊藤淳子さんからメールを頂きました

下記に掲載します。
大西様
「心が安まる老子」の翻訳者の伊藤淳子です。ブログでのご紹介、ありがとうございます。
今日(というか、さっき)テレビで、農薬散布によって、子供たちの神経回路の発達異常が起るというよう
なレポートを放映していました。農家のみなさまのご苦労を思うと、勝手に食べるだけの都会人たちの勝手な言い分は心苦しく思う部分もありますが、農業や食は、日本の未来をも担っていると考えますと、やはり有機栽培や、せめて低農薬で作っていただきたいと思うばかりです。
伊藤淳子