伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第二十八章 男らしさと女らしさの共存


勇ましい男性的な力強さと、
やさしくたおやかな女性的な面を
あわせもった峡谷は、
世の中を動かしていく力のようだ。


男らしさと、女らしさを以(もっ)て、
あれこれ画策するのではなく、
生まれたばかりの赤ちゃんのようにいよう。


真っ白に輝くレールの上を歩むだけではなくて、
ダークな、暗闇のような世界に身を置く機会があれば、
人生の機微や裏表を見極めることができる。


人生や、世界を、
見極めることができたら、
どんなことが起きてもたじろぐことなく
立ち向かうことができる。
同時に、原点に戻ることにも
躊躇することがない。


人生最高の栄誉を得るだけではなく、
屈辱や、つらいことも経験していれば、
それこそが、人生の峡谷であり、
どんなことでも乗り越えられる力となる。


なんでも受け入れられるということは、
いつでも、どんなことでも、
変わらぬ心根を持ちつづけ、
樹木のように
すくすくと育つということだ。
育った樹木は、いろいろな使い道がある。


リーダーは、これを見逃さずに
活用すればいいのだが、
伐採してしまえば
樹木はなくなってしまう。


リーダーのなかのリーダーとなる人は、
樹木を伐採してなにかを創ろうとするのではなく、
なにかが創れる樹木を
育て続ける。


  • 「心が安まる老子」の著者伊藤淳子さんからメールを頂きました

下記に掲載します。
大西様
「心が安まる老子」の翻訳者の伊藤淳子です。ブログでのご紹介、ありがとうございます。
今日(というか、さっき)テレビで、農薬散布によって、子供たちの神経回路の発達異常が起るというよう
なレポートを放映していました。農家のみなさまのご苦労を思うと、勝手に食べるだけの都会人たちの勝手な言い分は心苦しく思う部分もありますが、農業や食は、日本の未来をも担っていると考えますと、やはり有機栽培や、せめて低農薬で作っていただきたいと思うばかりです。
伊藤淳子