伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第五十五章 赤ん坊のように純粋でいよう


すばらしいものを
内に秘めている人は、たとえていえば、
赤ん坊のようなものだ。


無心な赤ちゃんを襲うものはいない。
害虫に射されたり、
毒蛇に噛まれたり、
猛獣が爪をたてたり・・・
赤ちゃんは、そんなことには無縁な存在だ。


骨は弱く、
筋肉もやわらかいが、
握りこぶしは固い。
男女の営みも知らないのに性器が勃起するのは、
生命力がみなぎっているからだ。
一日中泣き続けても声が嗄(か)れないのは、
調和がとれて、
元気な証拠だ。


赤ちゃんのように
バランスがとれた生き方は、
太古の昔から変わらない。
つまり、
昔から変わらぬ生き方をしていれば、
バランスがとれているということだ。


無理やり、寿命を延ばそうとするのはよくない。
心を奮い立たせ、
気力を煽ることも、
無理な所行だ。


どんなものでも
盛んなときがあれば、
いつかは必ず衰える。
いいことがあったり、落ち込んだり、
アップダウンするようでは、
永遠に変わらない生き方と相反する。


ずっと変わらずにいよう。
強引に盛大になろうとすれば、
滅びるスピードも速くなる。


  • 「心が安まる老子」の著者伊藤淳子さんからメールを頂きました

下記に掲載します。
大西様
「心が安まる老子」の翻訳者の伊藤淳子です。ブログでのご紹介、ありがとうございます。
今日(というか、さっき)テレビで、農薬散布によって、子供たちの神経回路の発達異常が起るというよう
なレポートを放映していました。農家のみなさまのご苦労を思うと、勝手に食べるだけの都会人たちの勝手な言い分は心苦しく思う部分もありますが、農業や食は、日本の未来をも担っていると考えますと、やはり有機栽培や、せめて低農薬で作っていただきたいと思うばかりです。
伊藤淳子