伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第五十六章 世俗の塵にまみれる


ものごとの本質がわかる人は、
余計なことは言わない。
よくしゃべる人ほど知ったかぶりで、
ものの通りなどわかっていない。


自分らしく生きたい人は、
能力をアピールしたり、
力を誇示することはしない。
見たり、聞いたりする情報をシャットアウトして、
世の中の雑念が入り込む門を閉ざす。
自分の内なる声に耳を傾けていたいと、
ずっと考えているが、
自分の思っていることを表に出そうとはしない。
世俗的な考え方も受け入れ、
塵にまみれるように、
雑多な情報も自分のなかで一体化する。
これは人知では計り知れない、
不思議な同化だ。


自分や他人の差別なく、
世俗的な事象と一体化している人は
ある意味では超越している。
だから、
近づいて仲良くなることもできないし、
遠ざけて仲間はずれにもできない。
メリットを与えられないし、
危害を与えることもできない。
上品ぶれないし、
みすぼらしくふるまうこともできない。


このように一体化してふるまうことで、
天下を治めるのである。


  • 「心が安まる老子」の著者伊藤淳子さんからメールを頂きました

下記に掲載します。
大西様
「心が安まる老子」の翻訳者の伊藤淳子です。ブログでのご紹介、ありがとうございます。
今日(というか、さっき)テレビで、農薬散布によって、子供たちの神経回路の発達異常が起るというよう
なレポートを放映していました。農家のみなさまのご苦労を思うと、勝手に食べるだけの都会人たちの勝手な言い分は心苦しく思う部分もありますが、農業や食は、日本の未来をも担っていると考えますと、やはり有機栽培や、せめて低農薬で作っていただきたいと思うばかりです。
伊藤淳子