伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第五十八章 いいことも、悪いことも、結局は同じ


政治が、おおまかで穏やかなものなら、
人々にわかりやすいので、暮らしやすい。
政治が、こまかくわずらわしいと、
人々はこせこせと、ずる賢くなる。


不幸は、そのなかに
幸せが詰まっている。
幸せには、どこかに
不幸が隠れている。
幸せと不幸せの究極とはどんなものか、
誰も知らない。


絶対的な正しさなどない。
正しいと思うことも、
見かけや立場が変われば、おかしいこともある。
ラッキーなことも、
場所を変えれば、アンラッキーになることもある。


いいことがあれば悪いこともあり、
それが波風となる。
人々がそれを忘れ、
気持ちに迷いが生じるようになったのは
ずいぶん昔に遡(さかのぼ)る。


リーダーとなる人は、
物事には明暗の両面があることを知っている。
品行方正かどうかで人を判断せず、
自分自身は清廉で、
人を傷つけることはない。
実直だが、人に押し付けようとはせず、
光り輝く才能や実力を持っていても、
その光を輝かせようとはしない。


  • 「心が安まる老子」の著者伊藤淳子さんからメールを頂きました

下記に掲載します。
大西様
「心が安まる老子」の翻訳者の伊藤淳子です。ブログでのご紹介、ありがとうございます。
今日(というか、さっき)テレビで、農薬散布によって、子供たちの神経回路の発達異常が起るというよう
なレポートを放映していました。農家のみなさまのご苦労を思うと、勝手に食べるだけの都会人たちの勝手な言い分は心苦しく思う部分もありますが、農業や食は、日本の未来をも担っていると考えますと、やはり有機栽培や、せめて低農薬で作っていただきたいと思うばかりです。
伊藤淳子