伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第六十二章 生きるという広いこころ


あるがままに生きよう。
すべてのものは、
あるがままに、
生まれ出る。
あるがままに生きるという考え方は、
世界の核のようなものだ。


それは、
善人には、
大切な宝のようだし、
悪人にとっても、
自分の命のあるところだ。


世間では、
口先ばかりのきれいごとで
尊敬されている人がいる。
しかし、親切めいた行いが
みせかけであっても、
誰かになにかの恩恵を与えている。


悪人や、役に立たない人でも、
どこかに、なにか
いい影響を与えていたり、
だれかの役に立っているかもしれない。
だから、切り捨てたりできようか。


中心になる人物が決まり、
サポート役の体制が整ったときを見計らい、
両手に抱えきれないほどのお祝いの品を、
自分の車いっぱいにして献上する人がいる。
そんなへつらいかたをする人がいても、
平然としていよう。


このような生き方を
昔の人が尊んだのはなぜだろう。


あるがままに生きようと思うだけで、
生きることができるからだ。
たとえ罪を犯しても、
生きていくことは許される。


あるがままに生きるということは、
世界で最も尊ばれる考え方なのだ。


  • 「心が安まる老子」の著者伊藤淳子さんからメールを頂きました

下記に掲載します。
大西様
「心が安まる老子」の翻訳者の伊藤淳子です。ブログでのご紹介、ありがとうございます。
今日(というか、さっき)テレビで、農薬散布によって、子供たちの神経回路の発達異常が起るというよう
なレポートを放映していました。農家のみなさまのご苦労を思うと、勝手に食べるだけの都会人たちの勝手な言い分は心苦しく思う部分もありますが、農業や食は、日本の未来をも担っていると考えますと、やはり有機栽培や、せめて低農薬で作っていただきたいと思うばかりです。
伊藤淳子