野菜の個性

同じ種を蒔いても、姿形がなんと違うことだろう。姿形ばかりではない、味だって違うのだ。どの野菜も我が子のようで店に並べるときは忍びない、申し訳ない。昔、鶏を飼っていたときも同じ悩みで卵の一つ一つを眺めては溜息をついていた。地鶏だから白ではなく赤い色、それも同じ色の卵がふたつと無い、まるで宝石のよう。一方量販店の卵や野菜は金太郎飴の如く一律で工場で生産したみたい、たぶん味だって同じなんだろう。そのうえ農薬や化学肥料が残留していたのでは、とても食品とは思えない。私が頑固に店の裏で野菜作りに励んでいるのは、その感動を少しでもお分けしたい一心なのだ。人や動物に個性があるように、植物にだってある。その個性を邪魔をしないで伸ばすことが大切ではないか。
これから店頭にて「え?これがホーレン草?」なんて、声が聞こえるようです。