「元気な種で育てる究極野菜の誕生」連載８６

著者の石井吉彦さんは昨年の創業祭にて講演会をお願いしました、許可を頂いて彼の著書を連載でご紹介致しています。

- - 引用ココから---

第５章　究極の種で安心・安全野菜
１０、在来種ニンジンの本格出荷
在来種のニンジン（自家採種を十年以上継続している種で栽培したもの）が、本格的に出荷を開始しました。
このニンジンは、無肥料栽培で始めて自家採種に取り組んだ最初の野菜です。１１月後半から１２月までの期間が最盛期で、一年の中で、この時期にしか本格的な出荷がありません。
味は濃くありませんが、人をやさしくさせてくれる味です。ニンジン嫌いの人も、たいていは食べられるという不思議なものです。
ニンジンにこれほど大騒ぎするのには、理由があります。
訪問を受けたときや、講習会で話したりしたときに、試食していただき、必ず納得・感動していただいているのが、このニンジンだからです。以前、２０年ほど継続して取り組んでいる間に一度、種を蒔いても芽が出なくなったときがありました。３人で取り組んでいても、３人ともほとんど無くなっているときがあったのです。
しかし、その中でも何本か芽が出てきて、これが現在の先祖になりました。
種にまつわる取り組みについては、市販の種を買っている農家には、なかなか理解できないことかもしれません。
「種とりなんて、そんな面倒なことできる人は誰もいないと思いますよ」と、いわれたことも多々あります。
ただ、自分の信じた農法を実践するのなら、自分の信じた安心野菜を食べたいのなら、不明な部分を消し去らないと栽培ができないですよね。その不明な部分が、「種の問題」なのです。
このように素性がわかった段階（自分で採種するほどハッキリとわかっていることはないです）で栽培しないと、本物は作れません。
そういう意味を込めて収穫を見つめているのが、原点である「在来種ニンジン」です。
毎年、この時期になると喜びを伝えたくてしかたありません。ニンジンを食べて、どれだけの人の体調がよくなったか、優しい気持ちになれたか、数え切れません。ファンも増えています。流通で扱っている業者もあります。しかし、数量の限りがあるので、すぐになくなってしまいます。
供給している流通業者は、とくに在来種ニンジンとして販売していないので、なくなったら有機栽培や自然農法の人参を出荷しています。同じニンジンなのだからという考え方です。
しかし、食べる人は、味が違うので「あれ？」と思って、そこで買わなくなってしまいます。結果として、ファンが減るという悪循環もあります。
種にこだわっていることは、販売業者にとってはそんなに重要ではないということです。栽培方法が同じならいいでしょうとばかりに、黙って供給してしまうのでしょう。
まったく味が違えば、似て非なるものなのに。
本当に理解している人や求めている人にだけ供給するには、どうしたらよいのでしょうか。とくに近年は、夏からの気温の急激な変化によって影響を受けてしまい、収量が少ないです。やはり、シードマイスターの人を通して、優先的に供給する方法を考えないといけませんね。

- - 引用ここまで---次回につづく

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著者は石井吉彦　発行は有限会社ナチュラルシードネットワーク
〒286-0117　千葉県成田市三里塚光ヶ丘1-454　ご注文はファックス0476-40-4006でお願いします。ネットでも購入できます、下記↓で購入して下さい。
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