反芻動物のルーメン（第一胃）　その１

連載は「こうべ消費者クラブ」代表前迫（まえさこ）さんの「そろそろ本当のことを言わなくっちゃシリーズ」を了解を得て連載しています。なお、掲載部分は冊子の左側本文のみとし、右側参考資料は省きます。ご興味のある方は「こうべ消費者クラブ」までお問い合わせください。
反芻動物の牛さんには４つの胃があります。有機農業の理論的支柱といわれてきた保田茂先生がよく話されてきたことで、「草食動物の牛は、あの巨体を草だけで育てて維持しています。菜食では栄養が採れないと思われている人がありますが、野菜でも大きな体を作ることはできるんです。」と話されますが、確かに大きな牛さんはじめ象もキリンもサイもカバも草食動物なんですが、草食動物と人間は本当はちょっと違います。
まず、野菜のセルロースを人は消化することができません。腸をキレイに掃除する作用はありますので野菜をたくさん食べることはとても重要ですが・・・。
それでは、牛さんならセルロースが消化できるのか？　というと、「消化できる」も「できない」も、どちらも正解です。
反芻動物の牛さんには４つの胃があります。第４胃はほぼ人の胃と同じ働きのようですが、第１胃は特別にルーメンと呼ばれて、かなり人の胃とはイメージの違うものです。
ルーメンはとても大きな消化器官で、成牛の場合ドラム缶１本ほどの容量があります。実はこのルーメンは発酵槽です。ここに沢山の微生物が住みついていて、食べた草を発酵して分解しています。
草の繊維（セルロース）はこの微生物によって分解され、酢酸が作られます。酢酸は乳脂肪のもとになり繊維をタップリ食べる牛さんの牛乳は乳脂肪が高くなる傾向になります。北海道で青草が無くなる雪の季節には、雪の下の枯れ草や貯蔵牧草等、特に繊維質の比率の高い餌が増えると乳脂肪は高くなります。（牛乳を飲む人にとっても、寒い冬には脂肪の高い食品が嬉しいし、夏にあまり脂のべとついたものは向きませんよね。）次回につづく

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