反芻動物のルーメン（第一胃）　その2

連載は「こうべ消費者クラブ」代表前迫（まえさこ）さんの「そろそろ本当のことを言わなくっちゃシリーズ」を了解を得て連載しています。なお、掲載部分は冊子の左側本文のみとし、右側参考資料は省きます。ご興味のある方は「こうべ消費者クラブ」までお問い合わせください。
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前回の続き
人間や犬は食物中の繊維質の５％程度を分解しています。同じ草食動物で盲腸に微生物を多く持っている馬で、30〜50％分解するそうです。対して、ルーメンを持つ牛さんは50〜80％も分解してるそうです。
こんな風に、牛が食べる草の繊維は相当量消化されて糞になって出てきます。繊維の消化率から、「牛さんはセルロースを分解」できているように見えます。でも、実際はこの分解作業はルーメンの中の微生物が担っていますので、「牛さんがセルロースを消化しているのではなく、ルーメン微生物が消化している。」という方がより正しい答えになりますね。
また、ルーメンの微生物は牛さんにとってタンパク源にもなっています。草の消化の悪いタンパク源を分解してくれる微生物がどんどん増えて、やがて死んで第二胃以下に送られます。その胃で消化されて牛さんの体の中で利用されます。この菌体タンパク質は必ずしも植物タンパク質とは言い難く、と考えると牛さんだって純粋なベジタリアンではないわけです。
とにかく、牛さんは人に飼育されて牛肉になりますが、その牛さんもルーメンで微生物を繁殖飼育して、食べています。牛さんは牛さんの体の中に畜産牧場を持っているわけです。
ですから、牛さんたち反芻動物の場合、微生物＝バイ菌がいなければ、たちまち栄養が不足して、生きていられません。あんなに大きな体を維持していけません。
反芻動物のルーメン（第一胃）は以上で終わり、次回は「動物の無菌飼育は可能か？」です。
やはり私の想像した通り、畑の中でおこっていることと、人間のお腹の中でおこっていることと、こうやって牛さんのお腹の中でおこっていることは、原理は同じだったようです。畑に農薬や殺菌剤を撒くことは、自分のお腹の中に農薬や殺菌剤を入れることと同じ、なんということでしょうか。

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