腸内細菌叢　その２ - ちろりん村の社長日記

連載は「こうべ消費者クラブ」代表前迫（まえさこ）さんの「そろそろ本当のことを言わなくっちゃシリーズ」を了解を得て連載しています。なお、掲載部分は冊子の左側本文のみとし、右側参考資料は省きます。ご興味のある方は「こうべ消費者クラブ　078-903-2567」までお問い合わせください。
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大腸菌を含む消化管内常在菌は、酸性の強い胃ではほとんど見られないですが、胃潰瘍の原因菌のピロリ菌など全くいないわけではありません。胃の出口の十二指腸から小腸前部では、まだ酸素があるために好気性の菌が優位です。小腸後部から大腸では、食べたものに含まれる酸素もこれらの菌に消費されて、嫌気性の菌が優位になっています。これらの幅広い微生物が動物やヒトの消化管には住みついています。
ヒトの細胞数は約60兆個といわれる中で、大腸には500種以上100兆個の微生物がいるといわれています。つまり、数だけでいえば私の身体の40％が自分で、過半数の60％は他人ならぬ他の生物なんですね。
この大量の微生物がさまざまな老廃物や人の消化困難な物質を分解してくれたり、栄養素を生産しています。その結果、ヒトも食物繊維の5％くらいは消化しているわけですね。つまり、小腸から大腸にかけての腸内微生物が時に人には消化できない養分まで消化して、ヒトには作り出せない栄養素までも作ってくれています。微生物が消化管内にいなければ、ヒトも健康には生きていけないわけです。
また、それらの微生物が生産する複雑な関係の中で平衡状態を作りだしています。その平衡状態が新たな、例えば病原性細菌の侵入を拒んで、定着・繁殖させない作用も持っています。
夏井先生などは、常在菌を定着菌としてとらえ、たまに飛び込んでくる病原菌は基本的には「通過菌」だと言われています。病原性大腸菌 O-157などを同じように摂食してしまっても、発病する人としない人があることの理由の一つは、このように健全な腸内細菌叢を形成できているか、できていないかの差にもなっています。
つまり、食中毒や皮膚病等の場合、その抗病原性の強さはその人の皮膚や消化管の常在菌の強さや安定性にもよります。健康な人とはバイ菌を普通に、いっぱい持っている人でもあるわけです。
掲載ここまで、次回は腸内細菌叢　その３です。

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