「消毒も必要ない？」　その３ - ちろりん村の社長日記

連載は「こうべ消費者クラブ」代表前迫（まえさこ）さんの「そろそろ本当のことを言わなくっちゃシリーズ」を了解を得て連載しています。なお、掲載部分は冊子の左側本文のみとし、右側参考資料は省きます。ご興味のある方は「こうべ消費者クラブ　078-903-2567」までお問い合わせください。
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「細菌感染・化膿・敗血症にでもなったらどうするの！」とか「あんまり危険すぎる！」とかの意見が出そうですが、これは夏井先生自身が他の医師から散々非難されてきたことのようです。
夏井先生は、まず皮膚常在菌は皮脂を栄養源とできる嫌気性（酸素を必要としない）で弱酸性に適応する菌、さらにこの菌が皮脂のグリセリドを分解した結果できたオレイン酸やパルチミン酸などの脂肪酸を栄養源にできる菌などが層を作るようにバリアフィルムを形成します。この皮脂と外層菌によって嫌気条件が維持できるわけですね。また、皮膚表面はこの脂肪酸などによって弱酸性が保たれます。（「弱酸性」の洗剤が安全なわけではありません。この菌層を侵さない＝菌を排除しないほどほどの洗い方が健康な弱酸性の肌を維持します。）
ところが、化膿菌の黄色ブドウ球菌や緑膿菌はPH7程度の中性の好気環境でしか増えることができない上に、皮脂や皮脂由来脂肪酸を栄養にはできない菌です。為にこのフイルムの外側で弾かれるように皮膚表面から追い出されるので「通過菌」と言われています。つまり、健康な皮膚には化膿菌は定着できないわけですね。
ただし、創傷面＝傷ではその表皮がなくなったり、開いて内部細胞が露出されていますので、条件が違います。でも、実際には組織面には貪食細胞などの免疫が働いていますので、化膿を起こすほどには増殖できないようです。実際にはこのサイズの大きな貪食細胞が入れない縫合絹糸の繊維の隙間などが化膿菌の巣になる例があるそうですが、抜糸でこの条件を無くすと嘘のように化膿はおさまると言います。その他には血腫のような「溜まり」箇所ができてしまうと化膿菌の増殖の場ができてしまうそうです。逆に言えば、そのような化膿菌の定着場所を作らなければ、怪我でも化膿は起こらないと夏井医師は言われています。
外科手術の裏話ですが、痔の手術跡は排便に晒されのので、全く消毒の意味はないそうですが、治ります。大腸癌手術でも、癌組織摘出したあとの大腸の吻合部は消毒せず、開腹縫合部は毎日のように消毒を繰り返すそうです。あらゆる菌の塊のような便に接触する部分は消毒しないしできないけれど、それで腹膜炎などは起こらないと言います。
「消毒も必要ない？」は終わりです、次回は「プロバイオティクス」です。

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