「低温殺菌牛乳のセレウス菌」その３

連載は「こうべ消費者クラブ」代表前迫（まえさこ）さんの「そろそろ本当のことを言わなくっちゃシリーズ」を了解を得て連載しています。なお、掲載部分は冊子の左側本文のみとし、右側参考資料は省きます。ご興味のある方は「こうべ消費者クラブ　078-903-2567」までお問い合わせください。
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つまり、かつて牛乳というのは古くなると乳酸菌が勢力を持って、酸を作って牛乳の蛋白を凝固（酸敗凝固）させてヨーグルトにしてしまいました。そこでは、「賞味期限」表示など無くても牛乳の鮮度が判りました。万が一、子供さんやお年寄り、目の不自由な人などが口にしてしまっても、ヨーグルトですから危険はありませんでした。
ところが、品質改善だとかいって生乳段階から潔癖性な、菌の極めて少ない生乳を生産させるようになって、この牛乳自体の腐敗防衛機構＝乳酸菌を排除してしまいました。それで、よつ葉乳業は低温殺菌牛乳の割には長い賞味期限（D＋8）を実現してきました。でも、意外な副作用が出てきたわけです。これまで酪農の歴史で問題になったことのないセレウス菌が問題になってきてしまったわけです。私に言わせれば、牛乳を限度を超えて「清潔」にしてしまったために出てきた弊害です。
牛乳は仔牛にとっては唯一の命の糧です。乳房払拭や消毒などできない野生のお母さん牛の乳房がセレウス菌やボツリヌス菌で汚染されたら、仔牛達は生き残れません。でも、漏れ出た乳液が牛さんの乳房を汚し、乾いてカゼインが粘液状になった中に乳酸菌達が繁殖して乳酸菌優位のバイオフィルムが形成されれば、セレウスもボツリヌスも増殖できません。乳汁に適応する乳酸菌はそんな風に牛さんだけでなく陸上哺乳類の新生乳児達を守ってくれます。「自然の摂理」ってこういうことなんですね。
掲載ここまで、次回につづく。

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