「低温殺菌牛乳のセレウス菌」その５

連載は「こうべ消費者クラブ」代表前迫（まえさこ）さんの「そろそろ本当のことを言わなくっちゃシリーズ」を了解を得て連載しています。なお、掲載部分は冊子の左側本文のみとし、右側参考資料は省きます。ご興味のある方は「こうべ消費者クラブ　078-903-2567」までお問い合わせください。
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＜追記＞
「ナイシン」については昨年（2009年3月2日）、食品添加物・保存料として登録されました。「乳酸菌由来の添加物だから天然物で、毒性は低い」とか言われて今後多用されそうな気配です。
ところが、バクテリオシンは菌の競合現象で産生分泌されるもののようです。一般に競合ストレスなどに反応して産生量が増えたりなど、ある程度適時適量産生されるはずだと想像します。余分なものを余分に生産するとエネルギーの浪費です。賢い微生物は生存にとってリスクとなるような無駄はしません。つい最近も、「麹菌競合で生き残るために天然で作り出すものだから」、「麹酸は安全」と思いこみ、美白化粧品の原料として工業生産・精製して使い出しました。ところがこの麹酸が発ガン物質だと判明して使用禁止になった例を覚えています。
ナイシンも工業的に大量に生産して漫然と使用しようとするわけですから、抗生物質の最もダメな使用方法になります。特に、ナイシンは（34個のアミノ酸からなる）ペプチドですから、蛋白分解酵素（プロテアーゼ）で容易に分解されます。大腸菌に限らず、タンパク分解酵素を産生する微生物は沢山ありますから、微生物にとってナイシン耐性を獲得することは難しくなさそうです。すぐに耐性菌が生まれてしまいそうです。
院内感染同様、工業的に生産されたバクテリオシンが環境にばらまかれれば、土壌や下水・河川のどんな微生物が耐性を持ち出すのか？　私のような素人でも、その危険性は想像できます。製薬・食品工業界というのは、同じような間違いを何回繰り返せば、学習するのでしょうか・・・？。

今日で「そろそろ本当のことを言わなくっちゃシリーズ」の「清潔社会の排除と共生」を終わります。次回から始まるのは「作られたインフルエンザパニック」です。

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