伊藤淳子訳「心が安まる老子」

今日で老子の話は一応終わりました、伊藤淳子さんありがとうございましたm(_ _)m
でも、ここまで引用したからには最後に伊藤さんの素晴らしい「あとがき」を引用しないでは画竜(がりょう)点睛を欠きます。以下に引用します。


あとがき

福岡から、五島列島まで、小さなプロペラ機で一時間弱。
眼下には、泳いでいる魚まで見えるような、
おそろしく美しい、透明なエメラルドグリーンの海が拡がっている。
この海は、世界につながっている。
いろいろな名前で呼ばれていても、
世界に、ひとつしかない存在なのだなあと思う。


私は、これといった大きな目的があるわけではなく、
その日、その日に与えられたことを、
さして楽しむというわけでもないことも含めてこなしてきて、
それなりに幸せに過ごしいた。
でも、あるときから、つらいこと、悲しいこと、苦しいことが続き、
そんななかで、どんなに誠実に生きようとしても
他人には伝わらないものだと思い知らされた。
しかし、私がどうあれ、それでも地球はまわっているし、
花は咲き、風は薫っていた。そう思ってみると、
やはり私は、充分すぎるほど充分、幸せに生きているのである。
たぶん私がこうしているのも、
路傍の雑草が小さな花を咲かせているのと同じくらい、
なにか、意味があるのかもしれないし、
意味など、ないのかもしれない。


誰もが、生きることに目的や夢を持たなくてはいけないと思っている。
しかし、老子を自分なりに訳してみれば、
そんなことよりも、大きな自然の心を考えるのである。