書籍紹介

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第五十一章 徳のパワー 理念や品性など、 徳となるものを身につけ、 自分なりのスタイルを形作ろう。 人となりとは、 生き方に現れるのだ。 すべてのものが、 生まれてからずっと、 それぞれのやり方で生きている。 生きるためにどうしたらいいのか、 どうし…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第五十章 生かされて生きる 生まれ出て、 死に至るのが、 人の一生である。 人々は、 十人のうち三人は長生きだ。 短命の人も、十人のうち三人くらいいる。 なかには、長寿の運命なのに自ら命を縮める人がいるが、 そうした人もまた、十人に三人くらいの割合…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第四十九章 心はいつも空っぽに なにかに秀でた人というのは、 いつも心は空っぽだ。 心を空っぽにして、 人々の心が自分の心であると考えている。 よいことはだれもがよいとわかるが、 悪いことも、 秀でた人にとってはよいことだ。 嫌な目にあっても、 よ…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第四十八章 たんたんと行動する 学問が身についてくると 自分がどんどん 成長していくように感じる。 生きることを極めようとすると、 自分がどんどん すりへっているように思える。 自分が身につけてきたことを どんどんすりへらしていくと、 しまいには、…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第四十七章 ひきこもりのすすめ 家のなかにいても、 世界のことはわかる。 窓の外を見なくても、 季節ごとに気候が変わり、 生命が生まれる、 自然界の法則を知ることができる。 体験主義という言葉があるけれど、 外出ばかりして体験を重んじすぎると、 知…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第四十六章 欲深くならないように その昔、中国には格言があった。 世の中が平和なら、 戦いに役立つはずの駿馬よりも、 農耕用の馬のほうが必要になる。 世の中が不穏であれば、 馬は国境近くで軍馬として必要になる、と。 最も罪深いことは、 欲望をどんど…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第四十五章 いいこともあれば、悪いこともある 自然界のルールは、 完璧だ。 にもかかわらず、 欠点ばかりにみえる。 それでも、 疲れることも休むこともなく、 自然の営みは続いていく。 人生を、器にたとえてみよう。 たっぷりと満ちているのに、 空っぽの…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第四十四章 ほどほどがいい 名誉と、 健康では、 どちらがたいせつだろう。 自分の身体と、財産では、 どちらが価値があるだろう。 どちらも手に入れようとすると、 どちらかが失われる。 欲を出して、必要以上に金を儲けても、 出費がかさんでいくだけだ。 …

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第四十三章 水のように、空気のように 世の中で、もっともやわらかいものが、 世の中で、もっとも固いものを 思うがままに、突き動かす。 それが水であり、 空気である。 かたちのないものは、 どんなすきまにも入り込む。 私たちは、 水や空気のように、 無…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第四十二章 ひとつひとつの積み重ね なにごとも一から始まる。 一は二を生み、 二は三を生み、 三は万物を生む。 すべてのものは暗がりから生じて、 日の光を浴びるチャンスがある。 マイナスから出発すれば、 プラスに転ずる。 ものごとは、いつも 調和して…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第四十一章 人にはわからないこと 優れた人は、 知識を学ぶだけではなく、 実行する力がある。 ふつうの人は、 役に立つアドバイスを受けても、 そんな考えもあるのかな、としか受け止めず、 実行に移さない。 ダメな人は、 他人の意見を聞かないどころか、 …

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第四十章 あるとないの繰り返し なにをするにあたっても、 人はしばしば、原点に戻る。 繰り返しチャレンジするには、 大きなことを極めるよりも、 小さく、柔らかに過ごしていこう。 そうすれば、 反動も、たいして大きくない。 世の中のものはすべて、 無…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第三十九章 オンリー・ワンの意味 一(いち)という数字には、不思議な魅力がある。 コンピューターの世界は1と0で成り立っているが、 現実の世界でも、一(いち)は「ある」でゼロは「ない」だ。 だから、存在を表す文字だ。 世の中が、同じ意識で統一でき…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第三十八章 なにかのためではなく、ただ行動する ほんとうにすばらしい人というのは、 身についた教養や知識を ひけらかしたりしない。 だから、いつでも輝いている。 なにかしらひけらかしていないと気がすまない人は、 立派な教育で得たものを 失うまいと…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第三十七章 自分らしくあるには 作為無く生きていると、 なにもできないように思えるが、 実のところは、 成し遂げられないことなどない。 さりげないふるまいや行動は 策略を立てて服従させようとするのではないから、 人々のほうが、自然についてくる。 目…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第三十六章 スモール・イズ・ビューティフル 生意気な輩をぎゃふんと言わせたいときは、 言いたい放題言わせておいて、 増長させておこう。 パワーダウンさせたい相手がいたら、 しばらくはパワーアップするのを見守ろう。 衰退させたいと思うなら、 彼らの…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第三十五章 無味でいること 自分なりの生き方を身につけたら、 それがどんな生き方であっても、 障害など、ありはしない。 自分らしく生きていくことは、 とても素敵なことだが、 説明するには曖昧だ。 音楽や、おいしい食べ物の話題に、人は集まる。 楽しか…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第三十四章 常に無欲でいよう 氾濫する河川のように、 四方八方に拡がっていきながら、 小さな隙間からも染みていく。 リーダーの存在とは、 そんな水のようなものだ。 植物や生物は、地中に染み込んだ水によって 育っていく。 山々から、あるいは天から与え…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第三十三章 ほんとうの豊かさ 人々がどんなことを考え、 どんなことを欲し、 どんな行動をするのかを分析すると、 他人のいろいろな姿が見えてくる。 でも、自分自身について、 どのくらいわかっているだろう。 他人と競争して勝つ人は、 実力や能力が優れて…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第三十二章 ひとりひとりは小さな木だ 生きることに、特別な名称はないし、 特別な手法もない。 あるがままに生き、 あるがままに過ごそう。 一本の若い木を道具として使う人はいないが、 いつかは大木となる。 リーダーとなる人は、 あるがままに生きるなか…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第三十一章 武力で勝つ空しさ 兵器は不幸をもたらす道具だ。 だから、兵器を見ると、いやな気持ちになる。 良識がある人ならば、 兵器や武器などに近寄りたいとは思わないはずだ。 ましてや、真のリーダーとなる人であれば、 武力を用いて 人を従わせようと…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第三十章 力を誇示しない 生き方の道理をわきまえ、 リーダーを補佐する人は、 権力や圧力によって 組織を増大していこうと考えたりしない。 権力や圧力でものごとを行使するのは、 ひいては自分に返ってくる。 そんなことなど、好む人はいない。 力で制圧し…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第二十九章 すばらしい人 トップになって、 天下をとってやろうとがんばっても、 すべての世界を手に入れることなど できるはずがない。 世界制覇とか、天下統一などは、 努力して手に入れるものではなく、 人知を超えた力によって 成されるものなのだ。 世…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第二十八章 男らしさと女らしさの共存 勇ましい男性的な力強さと、 やさしくたおやかな女性的な面を あわせもった峡谷は、 世の中を動かしていく力のようだ。 男らしさと、女らしさを以(もっ)て、 あれこれ画策するのではなく、 生まれたばかりの赤ちゃん…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第二十七章 不善があるから善がある よい行いというのは、 他人に吹聴するものではない。 よい言葉は、 かげりもキズもない、磨かれた玉のように 嘘偽りなく、 透明だ。 よい行いは、 計算ずくでないから、 ソロバンも計算機もいらない。 遂行する人たちの信…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第二十六章 どっしりと振舞う 重くてどっしりとしたものは、 軽いものの基盤になる。 静かで落ち着いたものは、 騒がしいもののお手本だ。 大勢の部下を伴い、遠くへ旅行したときも、 トップとなる者は、 荷物を積んだ車のそばに居る。 すばらしい宿に着いて…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第二十五章 森羅万象 いろいろなものが混ざりあってできた なにかがあるのだが、 それは、天や地もなかったころから すでにあった。 耳を澄ましても聞こえず、 目にも見えず、 感覚で捉えようとしても 捉えられるものではない。 宇宙のすみずみまで、 規則正…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第二十四章 虚勢を張らない つま先立ちで背伸びしたら、 長く立っていられない。 大股で闊歩するのも、 長い距離は無理だ。 自分がどんなに素晴らしいか 自己顕示しても、 他人には評価されない。 自分の意見が正しいと固執しても、 賛同を得ることは難しい…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第二十三章 言葉はいらない 言葉少なく過ごすのがよい。 どんなに激しい風が吹き荒れても 朝は来るし、 にわか雨は 一日と降り続かない。 嵐を吹かせ、雨を降らすのは、 天地である。 にわか雨だろうと、 嵐だろうと、 いつかは止む。 天地であっても、 雨風…

伊藤淳子訳「心が安まる老子」

第二十二章 不完全だから、成功に近づける 曲がりくねって伸びた樹木は、 伐採されずに 天寿をまっとうする。 尺取り虫は、縮まってから 身体を伸ばして、前に進む。 土地は窪んでいるから、 水が貯まる。 服はほつれるから、 新調する機会を得る。 最初から…